2023年 10月 の投稿一覧

7. Gnoble入塾テスト③

今から思えばここからでした。私のコンサルタント気質が暴発してしまうのは。
やるからには効率的に結果を出るようにしてあげたい。退屈な勉強の時間を少なくし、遊びの時間も確保しつつ、そしていい成果を出してあげたい。
私のクライアントに対する方針と概ね合致しています。

この時から、我が家庭には「愛する息子」と「勉強の効率性と成果を追求するクライアント」の2者が存在することになりました。これ以後ずっと、この2者の存在への対応が分裂しないようにしないように苦慮することになります。何を言ってるんだかという感じですけど。

さて、これがコンサル業務なのだとしたら、なにわともあれ現状分析から。息子の財務諸表たる入塾テストの成績をざっと眺めると、単純な計算をいくつも間違っている。そりゃ九九もできないのだからそういうものだ。
数独や計算問題集で練習させることも考えたけれど、私はExcelで「パパ計算ドリル」というものを作成してみました。Excelの乱数関数を利用して、二桁の足し算や二桁一桁の掛け算を無限に生成してくれるドリル。まさに世にいう「Excel父さん」で、かつ典型的なコンサルタントっぽくてなんだか気味悪いわあ。

しかし作成過程を息子に見せていたら、思惑通り、息子はExcelに興味津津となり、PCを渡してみると自分でこねくりまわし始めました。まだ数式はわからないので、セルを様々な色に塗ったり、記号を記入したりして巨大な幾何学模様の作成に熱中しています。このままExcelを楽しいものと思ってもらったら私が作った計算ドリルも積極的にやってくれるかな…..
しかし、冷静に後ろ姿を見ると小学三年生の社畜。これでいいのだろうか。まあいっか。

作成された数百問のパパ計算ドリルをプリントアウトして素知らぬ顔で食卓に置いてみたら、いつの間にか手を動かし始めています。
100点だと素直に一緒に喜び、間違えたところがあると悔しそうに原因を考えています。
その姿を見ていたら、こりゃもしかして意外と勉強は嫌いではないのかな?と思えてきました。
全く勉強に興味を示さないのであれば、入塾は再検討しようと考えていたけれど、今回は山本五十六メソッドが上手にハマったようです。

1ヶ月ほどでしょうか。ほぼ毎日ドリルに向き合った結果、目に見えて計算力が上がってきました。

その結果、2回めのGnoble入塾テストで合格。

息子いわく、ほぼ同じ問題が出たようでした….あんまりパパ計算ドリルの意義はなかったのかな、と思いつつ、おそらく塾としてはほぼ同じ問題でも、ちゃんと2回3回受ける気概のある子供(及びその家族)を求めているのかね、と思ったのでした。

 

このようにして、長い長い中学受験の道への扉は完全に開け放たれてしまいました。

6. Gnoble入塾テスト②

九九が言えないよー
これで中学受験とかちゃんちゃらおかしいよ。
ということで、まずはお風呂で特訓です。ろくろくさんじゅうろくーろくしちしじゅうにー

さすがに10日間くらいの特訓でなんとか間違えないで言えるようにはなってきました。
最後の方まで、しちろくしじうゅご、とか言っていましたが….
まあでもさ、小学3年生って本当はこんなもんだよね。こんな男が3年後に受験なんてできるんだろうかね。

さて、九九が言えるのは最低限の話。もちろんそれだけでGnobleには入れません。

私は
「息子よ、本当にGnobleってところ、入りたいのか?」
と、膝を詰めて聞いてみました。息子は、膝を詰められたのはこれが初めてかもしれません。

息子は「入りたい…..」と伏し目がちに答えます。

「パパが知っている限り、勉強はかなり大変だよ。遊ぶ時間は少なくなるよ。大丈夫?」

と聞いても「入りたい」と言うだけ。理由を聞いてもはっきりとした答えは返ってきません。

ほんとなのかなあ。どうも親の意向を汲み取って言っているように思えます。
しかし親父のわたしは一応「中学受験反対派」を標榜していますし、息子も母親の意向だけを汲み取るような単純な男でもない。

きっと、周りの環境の多くが、自然と彼を塾に通う方向へと後押ししているのでしょう。

両親ともに大学受験まで(私はその後も)結構勉強をがんばった人生で、そういった経験は折に触れて話しているし、周りの友達も既に塾に通っている子が多く、通っていない子とも塾の話はしている模様。水泳教室やサッカークラブに所属していたけれど、そんなに運動が大好きなわけではないようで、3年生で辞めてしまっている。ゲームはマインクラフト以外は基本的に禁止しているのであまりやることがあるわけではない。読書が好きだし、学校の授業もそんなに嫌いではなさそう。特に理科には興味がある模様。親が見る限り、割りとオタク気質。

以上の状況を小学3年生なりに見回して、なんとなく「あー俺、こりゃ塾行く運命だわ….」と思ったのかな、と、親としては判断しました。運命には逆らえないわな。

「よし、じゃあ入塾テスト合格するためにがんばるか!」
「うん!」

この時点で完全に中学受験の扉を開けて玄関に足を踏み込んだ状況となりました。

5. Gnoble入塾テスト①

あなおそろしや。
東京の小学生は入塾するのにテストを受けないといけないんやでー。

息子はGnobleに入りたいと言っていますので(ほんとかね)、恐る恐る入塾テストを受けてみました。
GnobleはSAPIXの小規模版ですから、そんな簡単には入れないのだろうと頭では理解していました。
理解はしていましたが、そうは言ってもおれの息子、受かるんじゃねーの、と簡単に考えていました。
しかし、かるーく落ちちゃいました。
「え、まじで落ちるんだ。。。」って息子の前でポロリと言ってしまいましたよ。

テストは算数と国語のみ。
確か算数は二桁の足し算・引き算、二桁一桁の掛け算が50問くらいの問題だったかと。
国語は文章題1題で漢字・語句・文意の記号問題が出題されていたような。

結果としては、算国半分の点も取れていないで不合格。

あー、そうか、、、まあ、そういうもんだよね。難しいんだよね、きっと。
と思いつつ、問題を見てみましたが、かなり簡単な問題を間違えている。。
これ、どういうことなんだろ、と思いつつ、一緒に問題を復習してみたところ、

いや、九九言えてないやん!

しちろくしじゅうご、とか言っている!
はちろくしじゅうご、とか言っている!

小学3年生の冬だよ!
あー、いかん、九九くらいはできるもんだと思って全くフォローしていなかったわ、、、、

しかし息子ちゃん、見事にしらっとした顔をしております。入塾テストって何かしら、私そんなの受けたかしら、といったようなまっさらなお顔。あら可愛いわね。いや、ちょ待てよ。

こりゃ、中学受験どころではないわ。そんなん関係なく、九九は言えるようにしないとまずいんじゃねーの。

ということで、我が家の中学受験は、まずは九九を完璧にするという基礎の基礎から始まりました。

4. 塾詣で(早稲アカ・Gnoble)

さて、私は依然として中学受験反対派としての家庭内活動を続けていたわけですが、一方で妻は早々に息子と塾の説明会に行く約束を取り付けていました。動きが早い。妻よ、やはり受験戦争への情熱の滾りが抑え切れないんだろう?と心ではニヤニヤしつつ真面目な顔をして私も出席しました。

・早稲田アカデミー
御茶ノ水のでっかい会場で300人くらい集めての堂々たるセミナーを開催。
現状の関東の中学受験の過熱状況や勉強のコツなどを塾長が説明。
親が説明を聞いている間、息子は入塾テストのようなものを受ける。

・Gnoble
関東の中学受験の状況の説明は早稲アカと同じ。
その校舎の各教科の責任者が出てきて、勉強の概要を説明。
どんな勉強が必要になるか、その量など、わかりやすい。
息子は体験授業に行く。

・SAPIX
近所の校舎が募集終了していたので行きませんでした。興味はあったので行ってみたかったのですが。

 

結局2校しか実際には行かなかったのですが、、、

結論から言うと、夫婦揃ってほぼ迷いなくGnobleが第一候補となりました。

Gnobleの気に入ったところは以下のとおり。
・5年生まで週2日(他の大手塾の多くは5年生からは週3日)
・ほとんどお弁当持参の必要がない。
・良くも悪くも講師が冷めている。プロっぽい印象。やっぱりハチマキ巻いて叫ぶのとか嫌やんね….
・SAPIXと比べると小規模(約10分の1)なのでオルタナ感がある。

ガロ系漫画が好きだったり、NIRVANAを熱心に聞いていたりと、私はちょいサブカル・オルタナ感が好きなやつなので、SAPIXや早稲アカはなんとなく避けたいなあ、と思っていたものです。日能研や四谷大塚は言うまでもなく。
言わば「ガチ感」を出したくない、ということですね。斜に構えているのが格好いいと思っちゃっている逆にダサいやつというか。ただ、Gnobleの実態は「ガチ勢」の集会場ですので、あくまで「雰囲気」の問題です。

また、極力塾にいる時間を短くしたい、と考えていました。
結局、塾の滞在時間が短ければ、その分家でやることが多くなり、親の負担が増えるのですが….
しかし、私はそれで問題ないと思っていました。やるなら息子とがっぷり四つでやるつもりでしたので。

息子もGnobleが気に入った様子。
理由はあまり明確には言ってくれませんでしたが、おそらく以下の理由に拠るものと思われます。
①体験授業が面白かった(そもそも先生のトークが上手いし、知的好奇心をそそる授業をしてくれた模様)
②雰囲気が合った(どちらかというと息子は集団が苦手。Gnobleに漂う個人主義の匂いに気づいたか)
③親の様子を見てる(親が気に入ったのをちゃんと気づいているのでは。実はこの要素が大きいかもしれませんが….)

 

いや、てゆーか、これで挙党一致で中学受験に臨む体制が出来上がってしまったではないか。

この時点では、まだ私は未練がましく、受験をしない選択肢を心のなかに抱えたままでした。