2024年 7月 の投稿一覧

17. 5年生6月。自走させるために放置してみた①

東大生へのインタビューとかで、「親に勉強しろとは一度も言われませんでした」
ってやつ、まじで痺れる憧れる。

誰しも才能だけで勝ってしまった感というのは感じたいわけで。
妻ちゃんだって一度くらい、
「うちの息子、全然勉強しなさいと言わなかったのに東大とか受かっちゃってwwwてへww」
とか誰かに言いたいだろうに。

ということで、5年生の6月に、夏だし、「勉強しろと言わない親」始めました。

「もう塾も慣れただろうから、今日から勉強は任せるね。一応スケジュールは決めたわけだし。その日なにをするかは自分で決めていいよ」と宣言しました。
いやーおれという父親かっこいいー!中学受験をしている子供を持っている親なら一度は言ってみたい言葉でしょう。

「分かった」と決意を新たにするか、「やったー自由だ」と喜ぶか、という息子の反応を予想していたのですが、息子の表情はどちらでもありませんでした。
彼は無表情で、そして目線には微かな「戸惑い」が現れていました。

あれ?とは少し思いましたが、宣言は撤回できません。
妻は、へー、そうするんだ、という意地悪な顔で見ていた気がします。

次の日から息子は自分で何を勉強するか、どれだけの時間勉強するかを決めないといけないわけですが、
笑っちゃうくらい混乱しているのが見ていて明らかで、
しばらく漫画を読んでいたけど、はっと気づいてテキストを持ってきて勉強しようとするが、
もう終わったやつだったようでまたほかのテキストを持ってくる。
すぐに飽きてまた漫画読み始めたけれど気づいたらすごい時間が経ってて、チラと私の方を見て
またテキストを持ってくる。けれどもう9時を超えていて、風呂に入りなさいと言われる…..

なんてことが毎日繰り返されていく。
なんか息子は常におろおろしている。

目の端で、テキストが着々と積みあがっていくのが見える。
グノーブルは書類が毎週大量に渡されるので、本当に昭和のサラリーマン漫画のように書類が積みあがっていく。

それでも1か月間放置プレイを続けてみました。
我が子ながら気の毒なほど迷走しているのが手に取るように分かります。
毎日やるべき基礎トレは数日まとめてやっている模様。
算数の授業用テキストの復習は多分ちゃんとやれていない。家庭学習用テキストなんて持ち帰ってきているかどうかすらわからない。
社会は好きなようなので少しは復習はしているっぽい。
理科はやるべき宿題が多岐にわたり複雑なもので、全然やっていないっぽい。
あと、漢字くらいはちゃんとやれよ!そんくらいやるべき範囲わかるだろ!!

一応私の目を気にしているようで、私が帰ってくるともぞもぞとテキストを出したりして、勉強する振りをしています。

情けないその姿を目に入れるのが辛くて辛くて、この時期の私はこれ幸いと夜の街に繰り出していました。

そうこうするうちに、1か月のまとめテスト、グノレブがやってきました。

 

 

 

16. 中学受験に効く漫画(歴史 平安~室町)

平安以降はより世界が複雑になっていきますね。戦争や乱が少なく、「文化」や「宗教」とかを理解しないといけないので、特に男の子に興味を持たせるのが難しい時代ですよね。

新編枕草子新編紫式部日記
二人の日常を描いているギャグ要素多めの作品。日常系だしバトルはないし男の子にはつまらないかな、と思ったが予想に反して息子の評価は上々。
あー、清少納言ってこういうやつだったのか、妙に納得します。
もし中学受験界にいたら、旦那が金持ちで教養があって子供はSAPIXαクラスで悪意無い風にマウンティングしてくる人気者ママ、という感じ。その清少納言の入り組んだ悪意に気づいてイライラして家に籠もって韓ドラ見てるだけだから子供の成績はなかなか上がらない、というのが紫式部ですかね。
私の好みは断然紫式部さんですね。まさかの息子も同じ意見だった模様。

応天の門
これは小学生男児でも楽しく読めます。
平安の時代に入り、もはや既得権益の権化と化した藤原家に菅原道真が知性と教養で挑むという勧善懲悪型ストーリーで、男の子も入り込み易い。
毎回推理小説的なトリックがあるので、コナン的な楽しさがある。そして(ここ重要)コナンよりもトリックがまとも。

平家物語(アニメ)
これは傑作アニメでした。
ご存知、栄華から急に没落で有名な平家の皆さんが順繰りに死んでいく物語ですが、死んでいくメンバーに感情移入できるようになっているので、しっとり泣けてしまう。
キャラクターデザインが高野文子さん。「黄色い本」とか読んでいた世代としてはグッと来ます。
あとオープニング曲が好き。
残念ながら息子はあまりピンと来ていませんでした。きっと好きだと思ったんですけどね。珍しく息子の趣味の読みが外れました。

日野富子(藤田素子)
超マニアックな漫画ですが、私としては好きだったので、息子にも無理やり読ませました。
足利義昭(銀閣寺の人)の妻、日野富子は金儲けや政治に長けた日本三大悪女の一人。(淀殿・北条政子・日野富子)

足利義政はあまり政治・経済に興味が無かったらしい。一方、妻の富子は政治の才覚があったようで先物取引みたいなことをして莫大な富を築き、政治に介入していった。最終的に自分の息子を将軍にすべく権謀術数を巡らして、これが結果的に応仁の乱のきっかけとなっていく。これを義政はどんな気持ちで眺めていたのだろうか。あんたはどうせ才覚ないんだから庭でも弄ってなさい、と暗に言われ、コンプレックスに苛まれながら引きこもってると、応仁の乱によって京の街は燃え朽ち果てていく。諸行無常を感じながらも政治的には何もできない。

というのを息子に読ませて、人生の諸行無常を感じてもらう。

バンデット(河部真道)
楠木正成ってどんな人かあんまり知らなかったんですよね。
鎌倉後期から室町幕府が成立するまでのストーリーって映画やドラマでもあまり描かれることが多くない気がします。
ちょっと残酷描写が多いのと、無法者だらけの話なので、行儀よく育てたい場合はおすすめできません。
でも、面白いよ。

阿吽(おかざき真里)
空海と最澄の関係を描いた名作だと思うのですが、いやあ流石に小学生には早いかなあ。
ちょっとエログロの描写が生々しくて小学生には耐えられないかなと。
という訳で私も息子には読ませていません。
しかし空海と最澄の性格や思想がざっくりと分かるし、遣唐使の危険性や、その危険を超えてもあの時代に中国に行く意味、というものが実感を持ってわかったりします。また「悟り」の表現がかなり独特で素敵ですね。
仏教を描いた漫画の名作は少ないので(手塚治虫のブッダがありますね)、是非子供には読んで欲しい作品ですが、適齢期は高校生くらいかなあ。

15. 中学受験に効く漫画(歴史 古代~奈良時代)

歴史漫画は大量にありますが、古代から奈良時代までは里中満智子先生一択ですね。
小学館や集英社等から発売されている、「漫画で学ぶ日本史」的なものもいいですが、やはり、商業作家として長年キャリアを積まれている先生の漫画はエンターテイメント性が段違いです。
特に里中満智子先生の作品は、登場人物の心理描写がやり過ぎなくらいに丁寧。
「漫画で学ぶ日本史」的な作品ですと、どうしても歴史上の出来事の羅列になりがちで、登場人物がなぜそのような行動を取ったのかについて、深堀りされていないと感じてしまいます。
「おおっ、大軍が攻めてきたぞ!しかし怯むな!我が騎馬隊は日本一ぞ!」「父が死んだ。悔しい。泣くな父の意思を継ぐぞ」みたいなね。表現がのっぺりなのよ。
一方、里中作品は、おそらく多分に先生の想像が入っているにせよ、主人公の恋心や嫉妬、そねみなどが実は重要な歴史的出来事に影響している、というスタンスで描かれます。「女帝」では、孝謙天皇が藤原不比等を愛していた、という設定で描かれますが、先生、ホンマですか、なんで知ってはるんですが、と言いたくはなります。でも、それがいいじゃないですか。

小学生男子が登場人物の心理描写(特に比喩表現)が理解できない、という問題(よく「赤い実はじけた問題」とか言われますね)は、女性作家の漫画を幼少の頃に読み込んでいないからでは、と私は昔より勝手に主張しております。
少女漫画の背景で、花やガラスが壊れる絵が描かれたりするじゃないですか。あれはまさに心理描写ですよね。ああいった表現に慣れていると、中学受験国語の比喩表現もすっと頭に入るんじゃないかと、斯様に思っております。

ギリシア神話(里中満智子先生)

すみません、世界史、しかも神話の世界ですので、のっけから中学受験の科目には関係ありません。
でも、これは傑作でした。
ギリシア神話の神々は、欲や嫉妬にまみれた人間くさい存在で、自分本意で勝手な行動ばかりしています。ゼウスなんてヘラという妻がいながらずっと浮気し放題です。しかしゼウスが浮気することにより、たくさんの神の子が産まれ、その神の子たちがまた勝手な行動をすることにより、世界が広がっていきます。妻のヘラはヘラで嫉妬しまくりで、ゼウスの浮気相手に対してひどい仕打ちをしまくります。ヘラも神様なんですが(結婚の神)、やることがエグくて、浮気相手に同情を禁じえません。ゼウスが悪いのに。
他の神様もサイコパス的なやつらばかりで、ちょっと下位の神や人間が気に入らないことをすると、簡単に大量虐殺をするし、エグい拷問も平気で実行します。
え、なんでそんなの小学生に読ませるの、という話ですが、里中先生が描くと綺麗に読めるんです。
また、私はギリシャ神話の神様というのは、人間のプロトタイプのショーケースのようなものと考えていまして、小学生にはそのショーケースを見て人間の本性を学んで欲しいと期待しているところです。

そして、これが古事記につながります。

古事記(里中満智子先生)

ギリシャ神話よりは若干マシですが、やはりわがままで傲慢な神々が好き勝手に行動した結果、なぜか日本国が出来上がっていく様を描いています。
見るなと言われた死者の形相となったイザナミを見てあっさり逃げ出すイザナギとか、楽しそうな音楽につられてついつい扉を開けてチラ見してしまうアマテラスとか、人間臭い見どころはいくつもありますが、個人的にはオオクニヌシのエピソードが良かったですね。なんつっても島に紐くくりつけて引っ張って集めてきて日本国を作っちゃってますから。まあ、国造りってそういうものですよね。

日本史を学ぶならまずはここからでは、と思うのですが、どうでしょうか。
うちはこの漫画を読んだ直後に出雲旅行に行き、オオクニヌシに詣ってきました。

 

天上の虹(里中満智子大先生)
先生、すみません!最後まで読めていません。23巻もあるので….
女帝である持統天皇の物語。でも読めたら素晴らしいと思う。中大兄皇子イケメン。

女帝の手記(里中満智子大先生)
藤原家の権謀術数に巻き込まれてしまった女帝・孝謙天皇の物語。少女の頃からの孝謙天皇の精神の成長を描く。
藤原不比等のサイコっぷりが気持ちいい。藤原家の繁栄のためならば女性天皇の恋心すら利用する。
そして孝謙天皇に募る不比等への不信感。この辺の表現が里中先生ならではですね。

長屋王残照記(里中満智子大先生)
藤原不比等の息子たち、藤原四兄弟の陰謀により暗殺される長屋王の物語。
人格も能力も秀でている長屋王。お父さんの不比等と比べると何もかもいまいちの四兄弟。
まあ、藤原家の繁栄のためには殺すしかないよね。

孝謙天皇や長屋王を悲劇の主人公にすることにより、藤原家の傍若ぶり、姑息ぶりが際立っています。
くそー藤原家め….と臍を噛む気持ちになり、小学生の頭にもきっちりと刻み込まれるかと。
「藤原家ってまじやばいよねー」という会話が子供とできれば目的達成ですね。

 

旧約聖書、新約聖書(これも里中満智子大先生)
ついでに、里中先生は新旧聖書も漫画化していて、とてもわかり易かったです。
5年、6年と学年が上がっていくと、特に社会の問題などで広めの教養を求められるフェーズが来ますが、その際に最低限、ユダヤ教とキリスト教の基本知識くらは入れておいた方が望ましいとは思います。
いや受験関係なく、必要な教養ですね。こういった漫画で基礎教養を仕入れておくと、本を読む段階になったときもすんなりと入れると思うんですよね。

14. 中学受験に効く漫画(理科)②

瑠璃の宝石

息子のハマり度 4
中学受験役立ち度 3
親からの面白さ 3

「ちょと萌え系で胸の膨らみが強調されている絵の女の子が宝石を探しに行く話」
と言ったら、ちょっと小学生に読ませるのは….と思いますよね。
しかしそんな心配はまったくの私の杞憂でした。
創造以上に硬派な鉱石探検漫画です。登場人物は女性だけで、恋愛要素もギャグ要素もゼロ。主人公は女子高生ですが、その師匠となるのが優秀な大学院生で、一緒に理知的に鉱石を探していきます。毎回、なぜこの鉱石がここで発見されるのか、地学や産業の知識を無理なく散りばめながら、ちゃんと理由付きでオチをつけてくれます。
大人が読んでも面白かったし、息子もハマっていました。普通におすすめできる漫画です。

理科ダマン

息子のハマり度 5
中学受験役立ち度 2
親からの面白さ 2

息子がバカ受けしながら読んでるし、友達にも貸して盛り上がっているようなので、きっといいものなのだろう。
理科の知識をベースにしたギャグ漫画ということらしい。私はそのギャグがよく理解できない。これで笑えないとはずいぶん大人になってしまったなあ。
でも子供はみんなだい好き理科ダマン!ということのようです。低学年の生徒に理科に興味を持たせる入口としていいのではと思います。

チ。-地球の運動について-

息子のハマり度 4
中学受験役立ち度 2
親からの面白さ 5

これは完全に大人向け。割とグロい拷問のシーンもあるので、教育方針によっては見せられない家も多いかと思います。私は見せてしまいました。漫画としての評価は、最高レベルです。超おもしろい。
いわゆる天動説と地動説の話です。まだみんなが当然のように天動説を信じていた時代。あれ?地球の方が動いてんじゃね?と気づいてしまった天才たちの残酷な運命を長期間に渡って描きます。
「チ。」はおそらく、地と知と血の3つを掛けている。地に関する知についての
息子も超面白いと言っています。天体に対する興味は湧くと思います。
科学と歴史が融合したエンターテイメント。