経営者人格マトリクス

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経営者と話す時はいつでも、その方が以下のマトリクスのどの象限に位置しているのかを把握して話すことになる。そもそも行動原理が全く異なるからだ。これを常に意識していないと、経営者に対するコンサルタントとしては何を依頼されているのかを正確に理解することができない。

創業者
上場 超人 狂人
エリート 有能な人 非上場
雇われ

基本ルール
・創業者寄りの経営者は株価を上げることを目標とする。
・雇われは役員報酬を継続的に授受することを目標とする。
・上場か非上場かは外の世界(株主やマーケット及び世間)を意識するかどうかが異なる。

 

上場+創業者
→現代における超人。通常数十億~数百億の資産を保有。
基本的に個人として人生を楽しむための資産は十分。思考回路は一般人には想像できない粋に達している。
自分が創業した会社のあくなき成長を目指すか、潤沢な資金をバックに自分の好きな趣味や人間に対して多様な投資を行う。基本的に怖いものはない。マスコミや国家権力くらい。
上場(M&A含む)によって株式のほとんどを売却してしまった場合は羨望の資産家となる。

上場+雇われ
→成功したエリート
株式を保有しているかどうかでさらに細分される。多くの株やストック・オプションを保有すればするほど上の象限に移動する。
自分の椅子を守り役員報酬を長期間受け取ることが目的となりがち。従って判断は保守的になる傾向にある。常に株主への説明責任に頭を悩ます存在。株主と有能な部下が怖い。

非上場+創業者
→愛すべき狂人。叩き上げ経営者。
狂人にならなかった二代目は基本的に下の象限に移動する。
会社の調子が良い限りは好き放題できる。業績が悪いと自分の自由が制限されたり雇用を維持できないことを強烈に理解しているため、腹をくくっている方が多い。
→この象限については個人事業主やフリーランスとの区別が難しいが、売上規模や雇用人数である程度区別できると思う。売上が億単位もしくは雇用人数が数十人になった時にこの象限に入るというイメージ。
太いお客さんと税務署が怖い。

非上場+雇われ
→有能なサラリーマン
歴史の長い優良企業に多い。全てを卒なくこなす人格者が多い印象。
会社の長期的な成長と従業員雇用の維持を目標としながら、個人の自己実現を現実的に追求している。
ただ、創業者(株主)が人選を誤って無能な者が指名された場合は(または二代目が無能だと)、従業員が多大な迷惑を被ることになる。
おそらく常に様々なことに頭を悩ましている。

 

一般的には右の象限から左の象限に移ることは可能。しかし、下の象限から上の象限に移ることは困難。
特に「有能な人」から「狂人」に移るのは非常に困難。
「狂人」は会社を成長させ上場させれば「超人」になれる。

もちろん、上記は経営者としての人格であり、行動原理であるから、経営を離れたプライベートの人格はその限りではない。限りではないのだが、プライベートの人格や行動に大きな影響を与えてしまうことが多い。

 

どの方も有能で、魅力的ですよ。ただ、友人としては「狂人」が一番おもしろいですね。最も金払いがいいのはもちろん「超人」ですが、扱いが非常に難しいです。私は業務的には「有能な人」と一番相性が合います。

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