平安以降はより世界が複雑になっていきますね。戦争や乱が少なく、「文化」や「宗教」とかを理解しないといけないので、特に男の子に興味を持たせるのが難しい時代ですよね。
・新編枕草子・新編紫式部日記
二人の日常を描いているギャグ要素多めの作品。日常系だしバトルはないし男の子にはつまらないかな、と思ったが予想に反して息子の評価は上々。
あー、清少納言ってこういうやつだったのか、妙に納得します。
もし中学受験界にいたら、旦那が金持ちで教養があって子供はSAPIXαクラスで悪意無い風にマウンティングしてくる人気者ママ、という感じ。その清少納言の入り組んだ悪意に気づいてイライラして家に籠もって韓ドラ見てるだけだから子供の成績はなかなか上がらない、というのが紫式部ですかね。
私の好みは断然紫式部さんですね。まさかの息子も同じ意見だった模様。
・応天の門
これは小学生男児でも楽しく読めます。
平安の時代に入り、もはや既得権益の権化と化した藤原家に菅原道真が知性と教養で挑むという勧善懲悪型ストーリーで、男の子も入り込み易い。
毎回推理小説的なトリックがあるので、コナン的な楽しさがある。そして(ここ重要)コナンよりもトリックがまとも。
・平家物語(アニメ)
これは傑作アニメでした。
ご存知、栄華から急に没落で有名な平家の皆さんが順繰りに死んでいく物語ですが、死んでいくメンバーに感情移入できるようになっているので、しっとり泣けてしまう。
キャラクターデザインが高野文子さん。「黄色い本」とか読んでいた世代としてはグッと来ます。
あとオープニング曲が好き。
残念ながら息子はあまりピンと来ていませんでした。きっと好きだと思ったんですけどね。珍しく息子の趣味の読みが外れました。
・日野富子(藤田素子)
超マニアックな漫画ですが、私としては好きだったので、息子にも無理やり読ませました。
足利義昭(銀閣寺の人)の妻、日野富子は金儲けや政治に長けた日本三大悪女の一人。(淀殿・北条政子・日野富子)
足利義政はあまり政治・経済に興味が無かったらしい。一方、妻の富子は政治の才覚があったようで先物取引みたいなことをして莫大な富を築き、政治に介入していった。最終的に自分の息子を将軍にすべく権謀術数を巡らして、これが結果的に応仁の乱のきっかけとなっていく。これを義政はどんな気持ちで眺めていたのだろうか。あんたはどうせ才覚ないんだから庭でも弄ってなさい、と暗に言われ、コンプレックスに苛まれながら引きこもってると、応仁の乱によって京の街は燃え朽ち果てていく。諸行無常を感じながらも政治的には何もできない。
というのを息子に読ませて、人生の諸行無常を感じてもらう。
・バンデット(河部真道)
楠木正成ってどんな人かあんまり知らなかったんですよね。
鎌倉後期から室町幕府が成立するまでのストーリーって映画やドラマでもあまり描かれることが多くない気がします。
ちょっと残酷描写が多いのと、無法者だらけの話なので、行儀よく育てたい場合はおすすめできません。
でも、面白いよ。
・阿吽(おかざき真里)
空海と最澄の関係を描いた名作だと思うのですが、いやあ流石に小学生には早いかなあ。
ちょっとエログロの描写が生々しくて小学生には耐えられないかなと。
という訳で私も息子には読ませていません。
しかし空海と最澄の性格や思想がざっくりと分かるし、遣唐使の危険性や、その危険を超えてもあの時代に中国に行く意味、というものが実感を持ってわかったりします。また「悟り」の表現がかなり独特で素敵ですね。
仏教を描いた漫画の名作は少ないので(手塚治虫のブッダがありますね)、是非子供には読んで欲しい作品ですが、適齢期は高校生くらいかなあ。