中学受験

17. 5年生6月。自走させるために放置してみた①

東大生へのインタビューとかで、「親に勉強しろとは一度も言われませんでした」
ってやつ、まじで痺れる憧れる。

誰しも才能だけで勝ってしまった感というのは感じたいわけで。
妻ちゃんだって一度くらい、
「うちの息子、全然勉強しなさいと言わなかったのに東大とか受かっちゃってwwwてへww」
とか誰かに言いたいだろうに。

ということで、5年生の6月に、夏だし、「勉強しろと言わない親」始めました。

「もう塾も慣れただろうから、今日から勉強は任せるね。一応スケジュールは決めたわけだし。その日なにをするかは自分で決めていいよ」と宣言しました。
いやーおれという父親かっこいいー!中学受験をしている子供を持っている親なら一度は言ってみたい言葉でしょう。

「分かった」と決意を新たにするか、「やったー自由だ」と喜ぶか、という息子の反応を予想していたのですが、息子の表情はどちらでもありませんでした。
彼は無表情で、そして目線には微かな「戸惑い」が現れていました。

あれ?とは少し思いましたが、宣言は撤回できません。
妻は、へー、そうするんだ、という意地悪な顔で見ていた気がします。

次の日から息子は自分で何を勉強するか、どれだけの時間勉強するかを決めないといけないわけですが、
笑っちゃうくらい混乱しているのが見ていて明らかで、
しばらく漫画を読んでいたけど、はっと気づいてテキストを持ってきて勉強しようとするが、
もう終わったやつだったようでまたほかのテキストを持ってくる。
すぐに飽きてまた漫画読み始めたけれど気づいたらすごい時間が経ってて、チラと私の方を見て
またテキストを持ってくる。けれどもう9時を超えていて、風呂に入りなさいと言われる…..

なんてことが毎日繰り返されていく。
なんか息子は常におろおろしている。

目の端で、テキストが着々と積みあがっていくのが見える。
グノーブルは書類が毎週大量に渡されるので、本当に昭和のサラリーマン漫画のように書類が積みあがっていく。

それでも1か月間放置プレイを続けてみました。
我が子ながら気の毒なほど迷走しているのが手に取るように分かります。
毎日やるべき基礎トレは数日まとめてやっている模様。
算数の授業用テキストの復習は多分ちゃんとやれていない。家庭学習用テキストなんて持ち帰ってきているかどうかすらわからない。
社会は好きなようなので少しは復習はしているっぽい。
理科はやるべき宿題が多岐にわたり複雑なもので、全然やっていないっぽい。
あと、漢字くらいはちゃんとやれよ!そんくらいやるべき範囲わかるだろ!!

一応私の目を気にしているようで、私が帰ってくるともぞもぞとテキストを出したりして、勉強する振りをしています。

情けないその姿を目に入れるのが辛くて辛くて、この時期の私はこれ幸いと夜の街に繰り出していました。

そうこうするうちに、1か月のまとめテスト、グノレブがやってきました。

 

 

 

16. 中学受験に効く漫画(歴史 平安~室町)

平安以降はより世界が複雑になっていきますね。戦争や乱が少なく、「文化」や「宗教」とかを理解しないといけないので、特に男の子に興味を持たせるのが難しい時代ですよね。

新編枕草子新編紫式部日記
二人の日常を描いているギャグ要素多めの作品。日常系だしバトルはないし男の子にはつまらないかな、と思ったが予想に反して息子の評価は上々。
あー、清少納言ってこういうやつだったのか、妙に納得します。
もし中学受験界にいたら、旦那が金持ちで教養があって子供はSAPIXαクラスで悪意無い風にマウンティングしてくる人気者ママ、という感じ。その清少納言の入り組んだ悪意に気づいてイライラして家に籠もって韓ドラ見てるだけだから子供の成績はなかなか上がらない、というのが紫式部ですかね。
私の好みは断然紫式部さんですね。まさかの息子も同じ意見だった模様。

応天の門
これは小学生男児でも楽しく読めます。
平安の時代に入り、もはや既得権益の権化と化した藤原家に菅原道真が知性と教養で挑むという勧善懲悪型ストーリーで、男の子も入り込み易い。
毎回推理小説的なトリックがあるので、コナン的な楽しさがある。そして(ここ重要)コナンよりもトリックがまとも。

平家物語(アニメ)
これは傑作アニメでした。
ご存知、栄華から急に没落で有名な平家の皆さんが順繰りに死んでいく物語ですが、死んでいくメンバーに感情移入できるようになっているので、しっとり泣けてしまう。
キャラクターデザインが高野文子さん。「黄色い本」とか読んでいた世代としてはグッと来ます。
あとオープニング曲が好き。
残念ながら息子はあまりピンと来ていませんでした。きっと好きだと思ったんですけどね。珍しく息子の趣味の読みが外れました。

日野富子(藤田素子)
超マニアックな漫画ですが、私としては好きだったので、息子にも無理やり読ませました。
足利義昭(銀閣寺の人)の妻、日野富子は金儲けや政治に長けた日本三大悪女の一人。(淀殿・北条政子・日野富子)

足利義政はあまり政治・経済に興味が無かったらしい。一方、妻の富子は政治の才覚があったようで先物取引みたいなことをして莫大な富を築き、政治に介入していった。最終的に自分の息子を将軍にすべく権謀術数を巡らして、これが結果的に応仁の乱のきっかけとなっていく。これを義政はどんな気持ちで眺めていたのだろうか。あんたはどうせ才覚ないんだから庭でも弄ってなさい、と暗に言われ、コンプレックスに苛まれながら引きこもってると、応仁の乱によって京の街は燃え朽ち果てていく。諸行無常を感じながらも政治的には何もできない。

というのを息子に読ませて、人生の諸行無常を感じてもらう。

バンデット(河部真道)
楠木正成ってどんな人かあんまり知らなかったんですよね。
鎌倉後期から室町幕府が成立するまでのストーリーって映画やドラマでもあまり描かれることが多くない気がします。
ちょっと残酷描写が多いのと、無法者だらけの話なので、行儀よく育てたい場合はおすすめできません。
でも、面白いよ。

阿吽(おかざき真里)
空海と最澄の関係を描いた名作だと思うのですが、いやあ流石に小学生には早いかなあ。
ちょっとエログロの描写が生々しくて小学生には耐えられないかなと。
という訳で私も息子には読ませていません。
しかし空海と最澄の性格や思想がざっくりと分かるし、遣唐使の危険性や、その危険を超えてもあの時代に中国に行く意味、というものが実感を持ってわかったりします。また「悟り」の表現がかなり独特で素敵ですね。
仏教を描いた漫画の名作は少ないので(手塚治虫のブッダがありますね)、是非子供には読んで欲しい作品ですが、適齢期は高校生くらいかなあ。

15. 中学受験に効く漫画(歴史 古代~奈良時代)

歴史漫画は大量にありますが、古代から奈良時代までは里中満智子先生一択ですね。
小学館や集英社等から発売されている、「漫画で学ぶ日本史」的なものもいいですが、やはり、商業作家として長年キャリアを積まれている先生の漫画はエンターテイメント性が段違いです。
特に里中満智子先生の作品は、登場人物の心理描写がやり過ぎなくらいに丁寧。
「漫画で学ぶ日本史」的な作品ですと、どうしても歴史上の出来事の羅列になりがちで、登場人物がなぜそのような行動を取ったのかについて、深堀りされていないと感じてしまいます。
「おおっ、大軍が攻めてきたぞ!しかし怯むな!我が騎馬隊は日本一ぞ!」「父が死んだ。悔しい。泣くな父の意思を継ぐぞ」みたいなね。表現がのっぺりなのよ。
一方、里中作品は、おそらく多分に先生の想像が入っているにせよ、主人公の恋心や嫉妬、そねみなどが実は重要な歴史的出来事に影響している、というスタンスで描かれます。「女帝」では、孝謙天皇が藤原不比等を愛していた、という設定で描かれますが、先生、ホンマですか、なんで知ってはるんですが、と言いたくはなります。でも、それがいいじゃないですか。

小学生男子が登場人物の心理描写(特に比喩表現)が理解できない、という問題(よく「赤い実はじけた問題」とか言われますね)は、女性作家の漫画を幼少の頃に読み込んでいないからでは、と私は昔より勝手に主張しております。
少女漫画の背景で、花やガラスが壊れる絵が描かれたりするじゃないですか。あれはまさに心理描写ですよね。ああいった表現に慣れていると、中学受験国語の比喩表現もすっと頭に入るんじゃないかと、斯様に思っております。

ギリシア神話(里中満智子先生)

すみません、世界史、しかも神話の世界ですので、のっけから中学受験の科目には関係ありません。
でも、これは傑作でした。
ギリシア神話の神々は、欲や嫉妬にまみれた人間くさい存在で、自分本意で勝手な行動ばかりしています。ゼウスなんてヘラという妻がいながらずっと浮気し放題です。しかしゼウスが浮気することにより、たくさんの神の子が産まれ、その神の子たちがまた勝手な行動をすることにより、世界が広がっていきます。妻のヘラはヘラで嫉妬しまくりで、ゼウスの浮気相手に対してひどい仕打ちをしまくります。ヘラも神様なんですが(結婚の神)、やることがエグくて、浮気相手に同情を禁じえません。ゼウスが悪いのに。
他の神様もサイコパス的なやつらばかりで、ちょっと下位の神や人間が気に入らないことをすると、簡単に大量虐殺をするし、エグい拷問も平気で実行します。
え、なんでそんなの小学生に読ませるの、という話ですが、里中先生が描くと綺麗に読めるんです。
また、私はギリシャ神話の神様というのは、人間のプロトタイプのショーケースのようなものと考えていまして、小学生にはそのショーケースを見て人間の本性を学んで欲しいと期待しているところです。

そして、これが古事記につながります。

古事記(里中満智子先生)

ギリシャ神話よりは若干マシですが、やはりわがままで傲慢な神々が好き勝手に行動した結果、なぜか日本国が出来上がっていく様を描いています。
見るなと言われた死者の形相となったイザナミを見てあっさり逃げ出すイザナギとか、楽しそうな音楽につられてついつい扉を開けてチラ見してしまうアマテラスとか、人間臭い見どころはいくつもありますが、個人的にはオオクニヌシのエピソードが良かったですね。なんつっても島に紐くくりつけて引っ張って集めてきて日本国を作っちゃってますから。まあ、国造りってそういうものですよね。

日本史を学ぶならまずはここからでは、と思うのですが、どうでしょうか。
うちはこの漫画を読んだ直後に出雲旅行に行き、オオクニヌシに詣ってきました。

 

天上の虹(里中満智子大先生)
先生、すみません!最後まで読めていません。23巻もあるので….
女帝である持統天皇の物語。でも読めたら素晴らしいと思う。中大兄皇子イケメン。

女帝の手記(里中満智子大先生)
藤原家の権謀術数に巻き込まれてしまった女帝・孝謙天皇の物語。少女の頃からの孝謙天皇の精神の成長を描く。
藤原不比等のサイコっぷりが気持ちいい。藤原家の繁栄のためならば女性天皇の恋心すら利用する。
そして孝謙天皇に募る不比等への不信感。この辺の表現が里中先生ならではですね。

長屋王残照記(里中満智子大先生)
藤原不比等の息子たち、藤原四兄弟の陰謀により暗殺される長屋王の物語。
人格も能力も秀でている長屋王。お父さんの不比等と比べると何もかもいまいちの四兄弟。
まあ、藤原家の繁栄のためには殺すしかないよね。

孝謙天皇や長屋王を悲劇の主人公にすることにより、藤原家の傍若ぶり、姑息ぶりが際立っています。
くそー藤原家め….と臍を噛む気持ちになり、小学生の頭にもきっちりと刻み込まれるかと。
「藤原家ってまじやばいよねー」という会話が子供とできれば目的達成ですね。

 

旧約聖書、新約聖書(これも里中満智子大先生)
ついでに、里中先生は新旧聖書も漫画化していて、とてもわかり易かったです。
5年、6年と学年が上がっていくと、特に社会の問題などで広めの教養を求められるフェーズが来ますが、その際に最低限、ユダヤ教とキリスト教の基本知識くらは入れておいた方が望ましいとは思います。
いや受験関係なく、必要な教養ですね。こういった漫画で基礎教養を仕入れておくと、本を読む段階になったときもすんなりと入れると思うんですよね。

14. 中学受験に効く漫画(理科)②

瑠璃の宝石

息子のハマり度 4
中学受験役立ち度 3
親からの面白さ 3

「ちょと萌え系で胸の膨らみが強調されている絵の女の子が宝石を探しに行く話」
と言ったら、ちょっと小学生に読ませるのは….と思いますよね。
しかしそんな心配はまったくの私の杞憂でした。
創造以上に硬派な鉱石探検漫画です。登場人物は女性だけで、恋愛要素もギャグ要素もゼロ。主人公は女子高生ですが、その師匠となるのが優秀な大学院生で、一緒に理知的に鉱石を探していきます。毎回、なぜこの鉱石がここで発見されるのか、地学や産業の知識を無理なく散りばめながら、ちゃんと理由付きでオチをつけてくれます。
大人が読んでも面白かったし、息子もハマっていました。普通におすすめできる漫画です。

理科ダマン

息子のハマり度 5
中学受験役立ち度 2
親からの面白さ 2

息子がバカ受けしながら読んでるし、友達にも貸して盛り上がっているようなので、きっといいものなのだろう。
理科の知識をベースにしたギャグ漫画ということらしい。私はそのギャグがよく理解できない。これで笑えないとはずいぶん大人になってしまったなあ。
でも子供はみんなだい好き理科ダマン!ということのようです。低学年の生徒に理科に興味を持たせる入口としていいのではと思います。

チ。-地球の運動について-

息子のハマり度 4
中学受験役立ち度 2
親からの面白さ 5

これは完全に大人向け。割とグロい拷問のシーンもあるので、教育方針によっては見せられない家も多いかと思います。私は見せてしまいました。漫画としての評価は、最高レベルです。超おもしろい。
いわゆる天動説と地動説の話です。まだみんなが当然のように天動説を信じていた時代。あれ?地球の方が動いてんじゃね?と気づいてしまった天才たちの残酷な運命を長期間に渡って描きます。
「チ。」はおそらく、地と知と血の3つを掛けている。地に関する知についての
息子も超面白いと言っています。天体に対する興味は湧くと思います。
科学と歴史が融合したエンターテイメント。

13.中学受験に効く漫画(理科)①

どうやったら理科に興味を持たせられるのか。これが問題だ。
銀座のオーセンティックなバーで「マグネシウムが燃えると激しい炎を発して酸化マグネシウムになるんだよ」
なんて事を言ったって、絶対にモテるわけがない。サッカーに打ち込んだり髪の毛にドライヤーでも当ててた方がモテるよね。
理科の知識が将来役に立つよ、って親が言ったって、科学者になんてならないもん、と言われたらおしまい。

モテるかどうか、仕事の役に立つかどうかなんて関係なく、ただただ無意味に自然発生的に科学全般を、おもしれえ、と思って欲しい。これが私の願望でした。そうなったら強い。どう考えてもそういう予感はしますよね。

その鍵は漫画とアニメとSF小説だな、と私は考えていました。

とりあえず、あくまで何気なく、不自然なくらいに自然に、自分で漫画を買って、部屋に置いて自ら楽しそうに読んでる姿をこれみよがしに見せつけてみました。幸いなことに、私は結構オタクなのです。
そういう姿を見せていると子供は自然に手を取るものですね。
色々と買ってみたのですが、息子の胸にストンとハマったのが以下の漫画たちでした。

  • ドクターストーン
    息子のハマり度 5
    中学受験役立ち度 4
    親からの面白さ 3

    皆さんご存知のジャンプ初の科学漫画。3年生になったあたりで全巻買ってみました。
    全ての人類が3700年の間、石化してしまい、現代文明が全て破壊されてしまった世界。石化から目覚めた若い天才科学者が少ない友人たちと協力して現代文明を再構築していくという話。かなりワクワクする設定ですよ。
    そして、話も、まー、よくできてる。抗生物質を再現するところがあるんですが、ちゃんと必要な物質を明示し、物質を入手するところから冒険譚として描いていきます。科学反応プロセスも頭に残るように描いてくれます。ジャンプ漫画らしくバトルもあり、ちゃんと科学を使って戦います(ダイナマイトを発明したり)。
    大人からすると荒唐無稽な話は多いのですが、まあ、ジャンプ漫画ですし。小学生にとっては十分高いレベルの話が多いし、ドランゴンボール後半のような戦闘力勝負のバトル漫画より全然読めるなと思いました(あ、DBファン申し訳ございません)。
    この漫画で確実に息子は理科に興味を持ち始めました。この頃はサルファ剤の合成プロセスを暗記して歌にして歌っていましたよ。すげえ漫画だ。

  • 実験対決
    息子のハマり度 5
    中学受験役立ち度 5
    親からの面白さ 2

    実験対決も素晴らしい。あまり知られていない気がしますが、これはみんな読むべきと思います。女子はハマらないような気もするが、小3か小4男子であれば勧められます。40巻以上あって長いですが(まだ連載中)。
    韓国の漫画で、多くの登場人物の名前は韓国名ですが、ちゃんとセリフもコラムも綺麗に日本語訳されていて読みやすいです。
    正直、ストーリーはドクターストーンと比べても更に少々幼稚であることは否めません。意地悪だったりカッコつけだったりのステレオタイプなキャラクター間との確執や嫉妬といった単純な関係性。ドラえもんの方がもう少し機微が表現されているな、くらいに思いますが、この漫画のすごいところはそんなところではありません。
    ストーリーはスポ根漫画です。小学校に実験クラブ(日本にそんなクラブがある学校は聞いたことがないが)があり、主人公の実験クラブは実績も悪く、解体寸前。そこで猪突猛進な主人公やスカしたイケメンやかわいいヒロインが集まってきて、クラブを再生し、実験対決の全国大会を目指していく!という話です。
    てか、そもそも実験対決ってなに?って話なんですが、実験の良し悪しで他校と争うんです。
    例えば、「雲」というテーマと実験器具が与えられます。両校は器具を使って「雲」についての何かを証明する実験を行います。科学的証明であれば何でもOK。しかし証明する理論が間違っていたらNG。実験過程で下手をうって証明できなくもNG。証明できたとしても実験過程が雑だったり洗練されていなければ減点。実験態度が悪くても減点。

    これらの採点を合計して勝負が決まります。馬鹿なことをやっていると思われた主人公の行動が実は重要な科学的事実を証明していて最終的に勝てた!みたいなドンデン返しも多く、ストーリーとしてちゃんと読めるようになっています。
    実験自体も結構本格派で、しっかりとコラムで実験の詳細や科学的見地も書いてくれています。
    息子は「実験対決読んでたから、Gnobleの理科くらいならそんなに勉強しなくても分かるよ」」と豪語してました(まあこの傲慢な態度も5年の途中くらいまででしたけど)。また、この漫画の影響でサイエンス倶楽部にも通うようになりました。

  • はたらく細胞
    息子のハマり度 4
    中学受験役立ち度 3
    親からの面白さ 3

    細胞やウイルスやがね、キャラ化して頑張るんですよ。ツンデレとか萌えキャラとかが。
    ちゃんと息子はハマっていました。とりあえず人体用語は覚えますね。

12. 我も勉強する

無邪気な小学生の期間を、こんな未曾有の勉強量で埋め尽くすのですから、多くの小学生は勉強が嫌いになってしまうでしょう。
およそ絶対に日常生活で見かけることなど無い珍奇な平面図形の面積を求めている場合じゃない。
そんなことより子供はゲームをする。漫画を読む。公園に行く。そして靴下を失くしてくる。
そういうものだ。

しかし私の野望は、息子が勉強・学問を嫌いにならないようにして、かつ志望校に合格すること。

いやそんな理想論言っちゃって、と経験者からは失笑を買いましたが、やるしかないんですよ。

最初に私が試したことは、「一緒にテキストを読む」こと。
息子が持ち帰ってくる大量のテキストや問題のうち、せめて基本テキストだけは全部読み、なるべく感想を話し合います。
社会はとても楽しく読めます。地理だったら、行ったことのある場所について、この山登った、この魚食べた、この海入った、と親の経験を話すこともできます。これは年の功。結構興味深く聞いてくれるものです。
歴史についてはコメント仕放題です。「出た!平将門!この人の首、飛ぶんだよ」「えwwどこに飛んだのw」「平安京から江戸まで飛んできちゃったんだよ」「まじwwなんでw」「いやあ、よっぽど恨みが深かったんじゃないw」「やべえw」「丸の内に将門の首塚あるから日曜日に見に行こうか」「行く行くwww」
こういう感じで会話をつなげて、土日のレクレーションに自然に持っていければこっちのものです。

理科も面白い。ただ途中から息子の方が内容に詳しくなっていきます。しばらくすると、理科については私が息子に分からないことを質問して、息子の講義を受ける、という形態に変化していきます。このやり取りはとても良かったように思えます。

国語は普通に大人でも楽しめる文章が載っているので、勝手に読んでいました。ただ、物語文の感想について夫婦で語り合っても、だいたい息子はぽかんとしていました。登場人物の感情の移り変わりや関係性に興味が持てないし、よく分からないようです。夫婦で頑張って説明しても、宙空を見ていて明らかにピンと来ていません。
なんで分からないんだろう、と不思議でしたが、これが小学生男子あるあるだと気づくのはもう少し後。

算数はそもそも基本テキストがない。実際に問題を解いてみないと何を学んでいるのか理解不能です。しかしさすがにそんな時間はありませんなあ、という訳で途中から算数については全く付いていくことができなくなりました。そもそもあまり得意じゃないんです。ここは息子任せになりました。
しかし、この対応がそのまま今後の成績に反映されることになっていきます。

こうやっていろいろ共闘しようとしましたが、ああしかし私は結局、息子の無垢な日々を奪っていることの言い訳するために理屈を述べているだけかもしれない。
いくら一緒にテキストを読んでいても、そういう気持ちが無くなることはありませんでした。

11.グノーブルクラス替えテストがえぐい

過剰な競争社会の弊害が叫ばれ幾月年。

極力順位はつけず、ハラスメントは論外、人の嫌がることは避けて避けてと、躾けられてきた我々ですが、グノーブルさんは華麗にその風潮を無視していて、私としては好感度MAXです。

9歳10歳の幼気な子供に毎月のように定期テスト(以後「グノレブ」と呼ぶ)を課し、クラスのみならず、席順まで順位通り正確に格付けしていきます。息子の校舎は6クラスで、上から順にα、α1、α2、α3、α4、α5と呼ばれています。
αに所属していれば最難関校合格間違いなし、と塾は囁きます。
このシステムはほぼサピックス方式のコピー版とのことですが、初めて聞いたら引きますよね。

ただ、我が家庭としてはですね、競争を煽るその覚悟や良し、とその潔さを高く評価することにしました。

サラリーマンなんて、ちゃんと数字で評価されるのは大体年に1回、それも上司からのぬるい1on1ミーティングでおっかなびっくりとコメントされるだけで、自分の立ち位置を理解できるチャンスはあまり無いのが通常では。

小学生に対して酷だと、色々と批判のあるシステムでしょうが、まあええんちゃいますか。
数字で毎月評価に晒されていると逆にエンターテイメント化してくるものです。
幼さとは恐ろしい。息子は特に違和感なくこのシステムに適応してしまいました。

とりあえずうちの息子はどうやら真ん中あたりのクラスを彷徨う模様。
一番下のクラスにずっと所属しているようであれば転塾か退塾を検討するところでしたが、グノーブルで平均近辺なら実質的に天才と呼んで差し支えない。

もちろん、クラス上下を親が気にしすぎるのは良くないと思います。
私は単なるゲームとして息子と一緒に楽しもうと考えていました。
酷い点を取ってクラスが下がっても気にしない。
ただ、これがちょびっとだけ難しい。
やっぱり、成績は良い方が気分もいいもんね。成績上げたくなるもんね。そして、親から見れば、成績を上げる方法は分かる。単純に勉強量を増やせばいいんですから。現状、宿題は半分もこなせていません。こなす量を増やせば少しは成績が上がるでしょう。息子にあれもやれこれもやれともっと指示すればいいんです。

でも我慢するしかない。

この頃は、ここまで宿題やったのか、すごいな!
こんな点が取れるなんて、すげえ頑張っとるな!
褒める言葉以外思いつかないくらいすごい。
お父ちゃんより全然すごい。
これだけを意識して言い続けていました。

 

ところで息子から色々とヒアリングしてみますと、塾には異能を有する者が何人も存在することが分かります。
毎回算数は満点、しかも国語も社会もできて、常に最上位クラスの最前席。
4年生で既に司馬遼太郎を読み込み、岩石や地層についても豊富な知識を有し、喋りも達者。

あー、東京ってこういう子が普通にいるんだなあ。
こんな子が傍らにいることが、息子にいい影響を及ぼしていくかどうか….

10. グノーブル4年生から難し過ぎ

まあ、聞いてはいたけどさ、4年生からグノーブルは量も質もとてつもないことになっています。

一応自分からやると言って通い始めたので、宿題については最低限のやる気はある模様。
でも、まだ9歳ですもん、やりきれるわけ無い。
授業は週2回、3時間ずつ。他の塾に比べれば1日少ない。けれどその分、宿題は多い。
確か、この頃に渡されていた宿題と、息子の状況は以下のとおり。

算数
N授業→家庭学習用宿題あり→一応やっている(間違えた問題のやり直しは網羅的にできていない)
T授業→問題演習→授業のみで家庭での復習なし
基礎力テスト→毎日の計算練習(10問)→たまにやれていない
計算マスター→週1回の難しい計算練習→ほとんどやれてない
G脳ワークアウト→単元ごとの問題集→まったくやれていない

国語
文章題→授業以上のことやれず
漢字練習→書き取り練習→なんとかやっている
漢字テスト→20問程度→ちゃんとやっている
語句の意味→ことわざや文法を頭に入れる→ときどきやっていない

社会
テキスト→ちゃんと読んでいる
テキスト穴埋め→ちゃんとやっている
テキストを踏まえた問題→ちゃんとやっている
白地図のようなもの→だいたいやっている
コラム→読んでいる模様

理科
テキスト→ちゃんと読んでいる
テキスト復習問題→ちゃんとやっている
応用問題→時間がないと全部できない

 

ちゃんとやれているのは社会だけだな。まあ、社会は一番時間がかからないのだけれど。
算数が全然手が回っていない。
いったいぜんたい、皆さんはどうやってこなしているのでしょうか。

 

9. 志望校について

もちろん、この時点で息子に具体的な志望校などありません。
なんとなくグノーブルがそれなりに楽しくて、勉強していれば親からは文句は言われないから通って見ようか、というくらいかと思います。

私も特に入って欲しい学校はありません。まあ、勉強するうちに息子が気に入って、学力的に彼にとって適切な中学校に進めればいいのかな、というくらいで。
でも、一つだけ譲れない方針がありました。男女共学の学校に入ってほしいんです。

これから息子が生きていく時代は、男性ばかり、女性ばかりという職場は少なくなっていくでしょう。
女性の上司部下、男性の上司部下、どちらであっても同じように協業できるようにならないと、まともなビジネスはできないのではと考えています。異性の友だちと遊ぶことも増えるでしょう。
というか家庭においてだって女性と男性の役割の区分は昭和の頃と比べたら曖昧になってきているし、これからもっと曖昧になっていくと思われます。母親・父親両方の役割について結婚相手と討議しながら自分なりの家庭像を構築していく必要があります。
そのために異性の考え方や協力の仕方を早めに知っておいて欲しい。というか仕事や友達関係については、性の区別の必要がない、という段階まで行って欲しい。
いい大学に入ることよりもその経験を思春期にしておく事の方が大事なんじゃないだろうか。

 

男子校女子校の方が勉学や部活に集中できて結果が出やすい、という研究結果が出ている、なんてこともよく言われます。まあそりゃそうなんじゃないですかね。
でも、異性が気になって成績が落ちたっていいんです。というかむしろそれがいい。

だって大人になったら普通に恋愛しながら、家庭を持ちながら仕事をするでしょう?いや、恋愛や結婚をしない人も増えてるか。でも職場には異性がいることが多いでしょう。思春期の段階からその状態を通常運営としてほしいんです。恋愛をして成績が落ちるようであれば、それこそが学び。異性がいることによりうまく自分を表現できないのであれば、長い人生の様々な局面においても自分を表現できない人間になってしまわないかな。
恋愛や学問や部活を両立できるように自分をチューニングできるようになって欲しい。

というのが私の個人的な希望なのですが、妻は反対してきましたねえ。
妻も同意見だと思っていたのでびっくりしました。妻は筋金入りの男女同権主義者ですから、同じようなロジックを踏むのではと考えていたのです。

東京の私立中学は女子校男子校が多い。難関と言われている学校は特に多い。
進学できるのは共学だけ、と限定してしまったら選択肢が減るじゃない、というのが妻の主張。
まあ、確かにそうなのよね。
偏差値表をまじまじと眺めてみると、上の方に位置している中学は男子校女子校ばかり。御三家とかね。
都内で共学の難関中学となると、数校に限定されてしまうんですよね。

子供の選択肢を増やすための受験なのに、それを減らすなんて!という主張です。

また、これは私の邪推ですが、妻は受験闘争に滾っているので、どうせ闘うなら偏差値表の上の方に攻め込んで行きたいと思っているんですよ。
その気持も分かる。正直分かりすぎるくらいに分かる。

 

でもさ共学で得られる経験って、学校の選択肢の多さよりも、偏差値よりも大切じゃない?

あと、誤解を恐れずに言えば、そもそも学校の選択肢ごとき、減ってもいいんじゃね?
というか、そもそも関東の中学校の選択肢、多すぎ。そして、正直違いがそんなに根本的にあるように思えない。ほとんどがそれなりにちゃんとした学校に見える。田舎育ちの私は実質的な選択肢は数校しかなかった。
また、様々な校風の学校が存在し、その中から選べるのが都内受験のいいところ、ともよく言われます。しかし、校風が合うかどうかなんてのも、正直入ってみなきゃわからないような気がする。子供の気質は第二次性徴前後で随分と変わるし。
私も13歳あたりで随分と変わった。こんなに気持ちの悪いオタク気質になるとは小学生の時は思いもしなかった。

 

以上が私の主張である。
上記の夫婦の意見交換は全て息子の眼の前で行い、全て聞いていてもらいました。
そして、あえて結論は出しませんでした。

 

息子ちゃん、じっと聞いていましたが、さて、どう考えたのか。

8. 我が家の中学受験基本原理の策定

Gnobleへの入塾が許可された。あとは雄々しく進むのみ。

もう息子と妻ちゃんを見ると、魔界への扉を開ける気満々に見えます。
何が待ち受けているか良くわかっていないくせに。
その当時、おそらく私は彼らよりもちょっとだけ深く中学受験の闇を理解していたつもりです。
なぜなら既に以下の3冊を読破していたからですよ。
・翼の翼
・勇者たちの中学受験
・金の角持つ子どもたち

いやどう考えてもお前が一番中学受験に興味津津じゃんよ、という感じですが、
この3冊を読むと、狂気に走る親、逃げる親、子供に無関心な親、子どもと適正な関係を築ける親、等々、多様な親子関係を知ることができます。何も考えずに魔界に踏み込むと、最悪、どのような結果になるか、非常にリアリティを持って理解することになります。結構読む手が震えましたよ。特に「翼の翼」。あと「二月の勝者」の島津くんの父親とか。

まじで怖すぎ。きっと、勉強するのが自分ではなく自分の子供なので、ストイックかつサディスティックに要求することができてしまうんですよね。
そこで、中学受験に突き進む場合の基本理念を決めておこうと思いました。

私は基本理念を
「息子に勉強(学ぶこと)を好きになってもらうこと」
として、そして、
「最終的な受験の結果は問わない」
と設定しました。

勉強や学ぶこと自体が楽しいことだと思えるようになれば、人生楽勝モードじゃないかなあと。
私自身、学ぶことと仕事が結構楽しいと思えるようになった瞬間から、人生に辛いことが、がっつり減りました。

まあしかし言うだけは無料ですから。具体的にどうすりゃその理念が実現できるかってことなんです。
だって、小学生が勝手に勉強好きになるわけがないですからね。
この段階では具体策を以下の通りに設定しました。

・極力勉強しろ勉強しろと言わない(きっとどうせ言うことになるけどね)
・漫画と本と映画から読解力と社会の知識を自然に身につける
・旅行で地理と歴史を学ぶ
・実体験で科学を学ぶ
・家族での会話をぶ厚めに
・親が勉強している姿を見せる(仕事でもいい)

まとめると、受験勉強を「なるべく小学生にとって楽しく、かつ長期的に人生の役に立つもの」に変えていくプロセスを踏む、ということです。

おそらく6年生以降はこんな理想論は通じないだろうなあ、と想像はしているのですが、5年生くらいまではこんな方針で進めてもいいじゃんと。

そのためには親自身が各教科の内容を理解したうえで、それに教養という名の味付けをしていくプロセスが必要になると考えました。

また、学問としての楽しさを理解してもらうのも大事ですが、成績がついてこないと子供にとって日々の勉強が楽しくならない、という問題もあるかと思います。正直、ある程度は退屈でつらい勉強をする必要はあると思います。例えば野球が大好きな子だってバント練習は退屈でしょう。深く好きになった人との楽しい恋愛だって、喧嘩したり嫉妬したりと、つらいことはいっぱいある。

あーあ、大変な3年間が始まるなあ、と思うと同時に、親としての私はやる気に満ちていました。
結構人に偉そうになにか教えたりするのが好きなもんでね。